たまねぎの皮たち

  • 2021-06-21
  • 2021-06-21
  • 散文
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不起訴

紙1枚で
あったことがなかったことになったこと
被害者にも加害者にも
なれなくなったこと
謝られたところで
枕に顔を埋めてさけぶ夜の連続を
伝わることもないのに

身勝手な愛

ただ仕事をしていた
わたしに恋人がいたことの
何に問題があったのか
手も握ったこともなく
連絡先すら知らないわたしに
失恋の痛みを騒ぎ立て
すべての仕事をなかったことにした
あなたにとっての創造はそのくらいのものか

陰謀

真実がどうかは大事でなく
それはわたしへの贖罪なのだろう
それがあなたのよんどころなのでしょう
まるで宇宙にいるようなあなたの話を
否定も肯定もせず聞き続けている
あなたに愛されて育った時間を忘れられないまま
この心の波が凪になった時
わたしは初めてあなたから自立する

鎮痛剤

あまりにも優秀な鎮痛剤だったのね
いっしょに本物のエーゲ海に行きたかった
もしそんな日がくるとしたら
それまで鎮痛剤なしでも
その日を待てるといい

口ぐせ

いつのまにうつったきみの口癖をもう
きみはわたしの口癖だと思っている
そうやってすこしずつ忘れて
きみは新しい人間になっていくね

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